*花は彼に恋をする*【完】
それはある日の事だった。
昼休みに私は羽奈と彩羽と
本社へ出張に来ていた
東京事業所広報課の舞花ちゃんと
社食へ行って昼食を済ませた後
途中で羽奈と彩羽と別れ
舞花ちゃんとオフィスへ戻ろうと
他愛ない話をしながら
エレベーターに乗ろうとした時
「…野田さん!!」
後ろから誰かに呼ばれた。
「……?」
振り向くと
部署が違うから名前は知らないけど
私よりも遥かに若い
女子社員が立っていた。
舞花ちゃんも同期ではないのか
誰だろう?と
考えているような様子だった。
「…何?」
首を傾げる私に
「…あの…ちょっと。
お話があるのですが。」
そう言って女子社員は
ジッと私を見た。
「……。」
私はこの場所で済ませるような
普通の会話ではない気配を感じた。
関わりたくないけれど
こう言うタイプの子は
話を聞いて貰えるまで
必ず再び来るのではと思った私は
「…わかった。
舞花ちゃんは先戻ってくれる?」
そう言って
心配そうな顔をする舞花ちゃんに
オフィスへ戻るように促して
その場を離れた私は
女子社員と一緒に場所を移した。