*花は彼に恋をする*【完】
「…で、何?私に話って。」
早く終わらせたい私は
すぐに話を切り出した。
ここは普段人通りも少ないから
普通に話していても
誰もいない廊下に
私の声がやけに響く。
すると
「…率直に伺いますが
野田さんは営業1課の黒瀬課長と
お付き合いされてるんですか?」
女子社員が私をチラリと見ながら
口を開いた。
「…はっ!?…えっ!?
黒瀬課長!?」
突然出てきた名前に声が上擦った。
なぜいきなり
黒瀬課長の名前が出てくるの?
目を見開いて驚く私に
「…この間…私見たんです。
野田さんと黒瀬課長が
イタリアンレストランから
一緒に出て行くのを…。」
「…えっ?」
「…それに最近、社内でも
黒瀬課長が嬉しそうに
野田さんに話しかけられてるから…。」
「……。」
「…あまり笑わないで有名な
黒瀬課長があんなに嬉しそうに
笑うなんて意外だったし…。
だから…気になってて…。
お付き合いされてるんですか?」
女子社員が黙っている私をジッと見た。