*花は彼に恋をする*【完】
「…何よ、その言い方。」
ここまで馬鹿にされるとは
思ってもみなかった。
後輩の前で泣きたくなんてない。
でも、泣きそうになるほど
グサッときてしまいそうな
そんな想い寸前の私に
女子社員は容赦なく
「…私は黒瀬課長に憧れてます。
私の他にも黒瀬課長を好きな人は
たくさんいます。
…だけど、野田さんみたいな人に
黒瀬課長は似合いません!!
…正直、目障りで邪魔です。
黒瀬課長に纏わりつかないで下さい!」
と、言い放ったその時
「…いい加減にしろよ!!
お前は誰に向かって
そんな口聞いてるんだ!!」
私の後ろから
企画開発課主任の赤羽優雅
(あかばね・ゆうが)がやって来て
女子社員を怒鳴りつけた。
「……!!」
私も驚いたけど
「…えっ!?赤羽主任!?」
『何故ここに?』と言いたそうに
驚く女子社員に向かって
「…おい!!…答えろよ!!
お前は誰に向かって
そんな生意気な口を聞いてるんだ?と
俺は聞いてるんだよ!!」
赤羽は睨みつけながら
女子社員を罵倒する。
「…えっ…あの…。
そんなつもりじゃ…。
その…ごめんなさい!!」
女子社員は慌てると
走って私達の前から立ち去った。