*花は彼に恋をする*【完】
…嫌。
この女性の紹介なんて聞く余裕
今の私にはないよ…。
「…課長、離して下さい!!
私、嫌です!!
課長の彼女さんの事なら
絶対聞きたくないですから!!」
もう一度私は抵抗すると
「…落ちつけ、玲花!!」
黒瀬課長が強い口調で私に言った。
「…えっ!?」
抵抗していた私の動きが
一瞬にして停止した。
だって…黒瀬課長が
私を『玲花』って呼んだから…。
ずっと『野田さん』だったのに…。
いつか呼んで欲しかった名前だけど
それを今この時に!?
抵抗するのをやめたものの
涙が溢れて言葉にならない私に
彼はおかまいなく
私の腕を引っ張って
あの女性の前に戻ると
「…瑛美香。
何か…俺達の関係を
彼女が誤解してるみたいなんだ。
…誤解解かないといけないから
協力してくれないか?」
と彼は言った。
すると
「…ええ、勿論!!良いわよ。
私達の関係についての
『誤解』を解かなきゃね。
応接室に案内するね。
……野田玲花ちゃん。」
そう言って
女性は私を見て微笑んだ。
…何で…私の名前を知ってるの?
私は目を見開いた。