*花は彼に恋をする*【完】
「……。」
…近くで見ても本当に綺麗な人。
だけど外見より
何だか声もノリも明る過ぎて
何より私を珍しがるように
ニコニコと見つめる顔が
段々と近づいてきて
さっきまで修羅場のように
興奮状態になっていた私は
「…えっと…あの…。」
何だか調子が狂いそうになる。
すると
「…瑛美香!!
お前の顔が近いぞ!!
ジロジロと珍しそうに見るなよ!!
彼女がさっきから困ってるだろう?
…まだお前の事を
紹介もしてないんだから。」
その様子に見兼ねた黒瀬課長が
えみかさんを軽く睨みつけた。
「…フフッ…翔英ったら。
私にヤキモチ妬いてるんだ?」
挑発するように黒瀬課長を見て
クスクス笑うえみかさんに
「…お前うるさい!!
茶化すなよ。
それより真面目な話するけど
さっきから彼女が戸惑ったままだから
誤解を解かなきゃいけない。
…頼む、瑛美香。
彼女にお前の名刺をやってくれ。」
とお願いしていた。