~グラビアアイドルが芸能界でキラキラな恋に落ちちゃった場合~
「大丈夫。転んだだけ」


「ケガしなかった?」


倒れたいすを元に戻してくれながら、良くんがあたしの方をのぞき込む。


「うん、本当に大丈夫だから」


「ならいいけど」


そう言って、机の前にいすを戻した良くんが、ふっと壁に目を留めた。


「あ……」


あたしは慌てて立ち上がると、ポスターの前に行って体で隠そうとしたけれど、
天井付近から貼ってある大きなポスターを隠しきれるはずもなく。


真っ赤になったあたしの前へ歩いてきた良くんが、


「まりちゃん、もしかして4Mのファンなの!? ありがと~!」


無邪気にはしゃいで、
あたしを抱っこした。

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