~グラビアアイドルが芸能界でキラキラな恋に落ちちゃった場合~
***



光森監督や司が演技についていろいろ指南してくれるおかげで、撮影は、毎日スムーズに進んでいた。


「それにしてもさぁ、左手薬指を失った美羽のために、拓也が、左手薬指を使わずに弾ける曲を作曲してあげるところが、なんとも素敵よねー」


休憩中に、沙織さんが、メイク直しをしてくれながら、そんなことを言った。

あたしは、「うん、うん」とうなずく。


「美羽の告白のシーンも、けっこうジーンとして、好きだなぁ」


「そうそう!」と答えたあとで、あたしはハっと思い出した。


そのシーン。

そのあと、拓也がセリフを言って、それで、その後――

例の、キスシーンがあるのだった。


< 202 / 350 >

この作品をシェア

pagetop