~グラビアアイドルが芸能界でキラキラな恋に落ちちゃった場合~
スタッフや名取さんに会わないように、廊下に誰もいないか、キョロキョロと見回してから、そっと部屋を出る。

エレベーターで誰かに会ったりしないように、こっそり非常階段で降りて行き――

うまいこと、誰にも会わずに、約束した出口に出られた。


そっとドアを開けると、すでに来ていた司が振り返った。


「よぉ」


気のせいか、少し恥ずかしそうな顔をした司の髪が、静かに風に揺れていた。


「少し歩こうか」


そう言って歩きはじめた司の背中を見ながら、後についていく。

< 208 / 350 >

この作品をシェア

pagetop