~グラビアアイドルが芸能界でキラキラな恋に落ちちゃった場合~

あたしはそのまま、動けないでいたけれど、

「まりんちゃーん? まだ起きてないのー?」

名取さんの催促に、観念してドアを開けた。


「おはよう……って、まりんちゃん! どうしたの、その目!」


名取さんが、あたしの顔を凝視する。


「ちょっと……深夜にDVDを観て、泣いちゃって。目がはれちゃったみたい……」


泣いた本当の理由なんて言えないから、そんな嘘をついた。


「まずいな、その顔じゃ、今日の撮影……」


名取さんは口元に手をあてて、考えるそぶりをした。

それから、小さなため息をついて。


「まずは、監督のところへ行こう」


静かに、そう言った。


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