~グラビアアイドルが芸能界でキラキラな恋に落ちちゃった場合~
今回の映画の初顔合わせのときも、御木本麗華が司に対して何か気づいている様子はなかったそうだ。


「もう、自分が捨ててきた息子のことなんて、記憶の片隅にもないんだろうな。
だから、もういい。俺も、御木本麗華が母親だっていうことは、忘れることにした」


「それでいいの?」


「え?」


「司の方から、言えばいいじゃない。あなたの息子ですって、名乗りでればいいじゃない」


「そんな必要はない」


「どうして?」


「思い出して欲しいわけじゃない。
忘れているなら、もういいんだ」


「そんな……
だって、お母さんなんでしょ。
せっかく再会できたのに、このままなんて」


「もういいんだってば」


「でも」


司が、ベッドから立ち上がった。


「お前、しつこい」

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