~グラビアアイドルが芸能界でキラキラな恋に落ちちゃった場合~
「お前のうちは、今日みたいに、鍋を家族でなごやかに囲んだりするんだろ?
俺には、そういうの、なかったから」


「……」


「分からないよ、お前には」


司はそういうと、

「ごめん、俺、今日は帰る」

そう言って、ドアの方へ向かった。


「えっ、だって、こんな深夜だし。まだ電車も動いてないよ?」


司の背中に声をかけるも、

「車で来たから大丈夫」

司があたしの方を向くことはなかった。


「待ってよ、司!」


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