~グラビアアイドルが芸能界でキラキラな恋に落ちちゃった場合~
そこへ、スタジオの扉が開く音が聞こえた。
「あ、監督戻ってきたね」と、あたしは席を立ち、扉の方へ振り向く。
しかし、開け放たれた扉の向こうから入ってきたのは、黒ずくめの服を着て、帽子を目深にかぶった男だった。
「え……?」
怪しい男の登場に、眉をひそめる間もなく。
男はあたしの方へ走ってきて、
あたしの腕をガシっとつかんだ。
「キャッ! な、なにを……」
一瞬、驚いたあとで、「あ、これって、ドッキリ企画か」と思い出した。
――予定より一日早いから、ビックリしちゃった。
今日、撮影が早く終わったから、早めたのかな。
もう、名取さん、ちゃんと伝えててくれないとビックリするじゃない。