~グラビアアイドルが芸能界でキラキラな恋に落ちちゃった場合~
ストーカー役の男は、片手であたしを後ろからガシっと抱き、もう片方の手に握ったナイフを、あたしの頬に近づけた。

小道具さんの作ったのだろうナイフは、まるで本物のようにギラギラと輝いていて、偽物のナイフと分かっていても、顔に近づけられるのはちょっと怖い。


「やめろ」


青ざめた司が、一歩一歩近づいてくる。


「来るなっ!」


男が叫び、司の動きを制止した。

司はその場で立ち止まる。


「落ち着けよ。そもそも、お前、誰」


「俺は、まりんちゃんのファンだ」


「ファンだったら、彼女の嫌がることするなよ」


「こうしなきゃ、まりんちゃんを俺のものにできないだろ」


「こんなことしたって、彼女はお前のものにはならねーよ」


「黙れ!」


男が、ナイフをぶんぶん振り回した。

それから、あたしを捕まえたまま、スタジオの扉の方へと向かう。


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