~グラビアアイドルが芸能界でキラキラな恋に落ちちゃった場合~
「え? ちょっと、撮影はスタジオ内でするって打ち合わせだったじゃない。
隠しカメラはスタジオ内に設置してあるからって……」


あたしは、司に聞こえないよう、ストーカー役の男に小声で言った。

男は、「は?」と眉をひそめる。


「扉の方まで行くと、隠しカメラから映らないからってプロデューサーに注意されなかった?」


「何の話だよ」


「え?」


話しがまったく噛み合わない。


「いい加減にしろよっ」


司が、強引にあたしを連れて行こうとする男を制止しようと、あたし達の方へ来ようとしたけれど、


「それ以上近づいたら……!」


と、あたしの頬にナイフをあてて男が言うので、司はやはりそれ以上動けない。


「ねぇ……。
そろそろ、司に、むちゃくちゃな要求を出したりするんじゃないの?
コーラの一気飲みとか」


またしても小声でストーカー役の男に言うと、男は


「なんで一気飲みなんてさせるんだ?」


そう不思議そうに言った。
< 304 / 350 >

この作品をシェア

pagetop