~グラビアアイドルが芸能界でキラキラな恋に落ちちゃった場合~
「司、司っ!」


あたしは、司の名を呼びながら、自分の首に巻かれていたスカーフを慌ててはずすと、司のわき腹に当てた。


「しっかりして、司!」


クリーム色のスカーフが、赤く染まり始める。


「やだぁ……つかさぁ……」


涙が溢れ出し、視界がゆがむ。


「救急車……救急車呼ばないと! あたし、助け呼んでくるから!」


立ち上がろうとしたあたしの手首を、司が弱弱しく掴んだ。


「いい。誰も呼ばなくて、いいい。……たぶん、もう、間に合わない」


「間に合わないって、どういうこと!? やだ、だめ、死なないで」


「映画、最後まで撮影できなかったのが残念だよ……」


「何言ってるの!? そんなこと言ってる場合じゃないじゃない」


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