~グラビアアイドルが芸能界でキラキラな恋に落ちちゃった場合~

「まり、今日はありがとな。
お前がいなかったら、俺、一生母親を恨んだままだった。
なんだか今日……いろいろな物を取り戻せた気がするよ」


あたしは小さくうなずいて、司の肩に頭をもたれる。


「人の行動には、その背景に、いろんな理由があって。
他人には分からない、いろんな事情があって。
だから、表面だけ見て決めつけちゃ、いけないんだな」


司はそう言いながら、あたしの髪をそっとなでてくれた。


「母さんが俺を置いて出ていったという事実は忘れられないけど……
それでも、過去を受け入れて、生きていける気がするよ。
前向きに」


「うん」


「まりがいてくれて、良かった」


「そう言ってもらえて、嬉しい」


「俺達、これからもずっと……」


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