【短】本命チョコはキミだけに。
本命チョコはキミだけに。
【萌愛サイド】
「あー……今年のバレンタイン、なに作ろうかなぁ~……」
ある休み時間、本屋で買ってきたレシピ本を見て、机に伏せた。
バレンタインまであと3日。
そろそろ作るもの決めないとヤバい。
「萌愛、誰かにチョコあげるの?」
それを見ていた親友の莉桜(りお)が聞いてきた。
「友チョコだよ!莉桜、作らないの!?」
私、莉桜と交換する気満々だったのに~っ!
「めんどくさいもん。あ、でもちゃんと萌愛にはチョコ買ってあげるから」
「本当に!?」
本当は莉桜の手作りチョコがよかったりするけど、それは言わないでおこう。
「……で?絢斗くんにはチョコ、あげるの?」
「あ、絢斗?」
絢斗とは私の幼なじみ。
ずっと前から好きなんだけど……でも素直になれず、今日の今日まで気持ちを伝えないまま生きてきた。
それを莉桜は知っている。
「もしかしたら絢斗くん、今年のバレンタインで誰かと付き合っちゃうかもよ~?」
「う……っ」
確かにありえないことはない。
絢斗はかっこいいし、運動神経抜群だし、頭もいいし、私以外の子には優しいし……モテるんだもん。