【短】本命チョコはキミだけに。
―――昼休み。
「よし、萌愛行ってこい!」
莉桜の言葉で1人で教室を出ていった絢斗をブラウニーを持って追いかける。
「……っ」
お、落ち着け私!
頑張れ、私!
「あ、あや……っ」
「おー、絢斗じゃねぇーか!」
話しかけようとしたら、絢斗は廊下にいた男子生徒に話しかけられていた。
た、タイミング逃しちゃった……。
慌てて廊下の柱の後ろに隠れる。
「絢斗、今年もチョコ結構渡されたのか?」
「まぁな」
「で?萌愛ちゃんからはもらったのかよ?」
“もえ”って……私のことだよね!?
「いや、もらってない」
「お前なぁ……ほしいなら素直に萌愛ちゃんにほしいって言えばいいのに」
からかわれる絢斗。
なんて……答えるのかな?
私は絢斗の言葉を待った。
「………別に俺、アイツからほしくないし。好きでもないのに」
「……!」