【短】本命チョコはキミだけに。





―――昼休み。



「よし、萌愛行ってこい!」



莉桜の言葉で1人で教室を出ていった絢斗をブラウニーを持って追いかける。



「……っ」



お、落ち着け私!
頑張れ、私!



「あ、あや……っ」



「おー、絢斗じゃねぇーか!」



話しかけようとしたら、絢斗は廊下にいた男子生徒に話しかけられていた。



た、タイミング逃しちゃった……。



慌てて廊下の柱の後ろに隠れる。



「絢斗、今年もチョコ結構渡されたのか?」



「まぁな」



「で?萌愛ちゃんからはもらったのかよ?」



“もえ”って……私のことだよね!?



「いや、もらってない」



「お前なぁ……ほしいなら素直に萌愛ちゃんにほしいって言えばいいのに」



からかわれる絢斗。
なんて……答えるのかな?
私は絢斗の言葉を待った。



「………別に俺、アイツからほしくないし。好きでもないのに」



「……!」
< 15 / 20 >

この作品をシェア

pagetop