彼となら、   熱くなれる
「俺ではなく他の男を欲しがった方がいい。おまえならいくらでも好きになってくれる、愛し合える男がいるはずだ。必ずいる。俺ではダメだ。兄ではダメなんだ。」

「いいえ、私は兄さんでなければ嫌よ。私にとって愛せる男は兄さんだけなの。私の想いは誰にも変えられないわ。例え兄さんに拒絶されてもこの想いだけは捨てない。ずっと自分に正直でいたい。だからお願い、今だけ、今夜だけ兄さんの全てを感じたいの。」

俺の体は意に反して珠良を求めていた。

人間は欲情に勝てないのだと、この時思った。

理性とはほんのちっぽけなものだと。

今は珠良が俺を求める想いが強大すぎて手に負えなかった。

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