彼となら、   熱くなれる
「それは助かりましたね。犬や猫もお産で亡くなることがあるのですか?」

「はい、人間と同じです。」

「子犬たちのために母犬が助かってよかった。」

「ええ、本当に。」ご主人も奥さんも大層喜んだ。

その夜は森下さんと話しをしながら夕食を一緒に食べた。

彼も宿泊した。

そして翌朝早く下山する彼と一緒に私も山を下りることにした。

「守口先生、一般ルートではありませんが、僕がサポートしますので少し遠回りしますよ。」

「はい、構いません。よろしくお願いします。」

まだ朝もやが完全に晴れてなかった。

「朝露で足元が滑りますから気をつけてください。」

「はい。」

私は森下さんの後ろを注意深く歩いた。

履きなれた登山靴が露に濡れた。

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