彼となら、   熱くなれる
「守口先生はどこかの動物病院に勤務されているのでしょう?」

「はい、都内です。」

「そうですか、僕は7年この辺りを受け持っていますが、年々野生動物が傷つくのが増えてきています。もちろん山に獣医はいませんから、僕たちができる範囲で診てますが。」

「そうなんですか、どんな動物がいるのかしら?」

「うさぎが多いです。大きくても鹿ですね。」

「野生だと暴れると思いますけど?」

「ええ、いつだったか鹿に蹴られましたよ。」

「本当?危ないわ。麻酔は使わないのかしら?」

「僕たちにそのレベルの薬品は持つことが許可されてませんから。守口先生のような獣医さんがいらっしゃれば別ですけれど。」

「ええ、そうね。」

「ふもとへ行けば病院があります。」

「でもそこまで運ぶとなると大変ですよね?」

「今まで一度もないですね、幸いにも。」

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