彼となら、   熱くなれる
ドーンッ!

遥か遠くの山で雷の音がした。

「守口先生、少し急ぎましょう。あれがこちら側に来るにはもう少し時間がかかるはずです。」

「はい。」

川に沿って下った。

森下さんはもうゴミを拾うことなく歩調を速めた。

雨はいきなり降ってきた。

私も雨具を身につけて土砂降りの中、森下さんの後ろを追った。

しばらく無言で歩き続けた。

私も元山岳部だったので雨の中を歩くことにはそんなに抵抗なかった。

ドドーンッ!

と空気が大きく揺れた。

近くに落雷したかと思ったほどの音だった。

「守口先生、もう少し下ると小屋があります。急ぎましょう。」

「はい。」私は力強く答えた。

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