彼となら、   熱くなれる
「雨量が多すぎて山が耐えられない状況だと、最悪の場合ここから動けなくなるかもしれません。」

「どうして?登山道があるじゃない、ダメなの?」

「登山道は今や川となって、普通には下山できない、と僕は思います。」

「森下さん、冷静ですね、私は内心落ち着いてられないんですけれど。」

「大丈夫ですよ、守口先生には僕がついていますから。」

「少しは安心できたかしら?」

「疑問形ですね、どうすれば安心してもらえますか?」

「何も考えつかないわ。」

私は下山できずに、今にも崩れそうなこの掘っ立て小屋を心配した。

ピカッ、ドドーンッ!

もの凄い轟音に震えたのは私だけでなく、この小屋だった。

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