彼となら、   熱くなれる
「守口先生、雷はお嫌いのようですね?」

「当たり前よ、地震と雷だけは耐えられないわ。」

「地震はこの国の宿命だし、雷は山なら切っても切れない付録みたいなものです。」

「森下さんて変なことをおっしゃるのね、こんな時に?私が一度診て差し上げるわ。」

「あっはっは、是非とも君に診てもらいたい。君になら僕の全てを見せてもいい。」

彼の目が光ったのは雷のせい?

ズドドーンッ!

地面が震えた。

「君も震えてるじゃないか?」

「今の、凄く近くて怖かったわ。こんなに間近で雷を聞くなんて、もうこれ切りにしてほしいわ。」

「無理だな。雷雲は真上だ。まだ通り過ぎない。」

豪雨も降り続いた。

「一体いつになったら小やみになるかしら?」

「・・・・・」彼は無言だった。

「森下さん、少しでも降りが弱くなったら下りられるでしょう?」

「朝が早いと一日が長く思える。まだ昼前だ。」

「昼間なのに外があんなに暗いわ。」

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