彼となら、   熱くなれる
バタンッ!

とドアの閉まる音にびっくりして、帰ってきた森下さんを凝視した。

全身ずぶ濡れで雨具の意味がなかった。

「どうした?固まって?」

突っ立った私の目の前で、彼はどんどん服を脱いでいった。

黒っぽいボクサーパンツだけになるまで数秒しか経ってなかった。

小屋の奥に置いてある大きな救命ボックスの一つから、隊員用の着替えを出して、脱いだ時と同じくらい素早く身につけていった。

彼はあっという間に着替えが終わった。

ずぶ濡れの靴だけは脱いだままだった。

彼はボットの熱いお茶を飲んでベンチに座った。

私はさっきの巨大な雷に神経が麻痺させられ、頭の中が真っ白で、まだ突っ立ったままだった。

目だけは動く彼を追っていた。

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