彼となら、   熱くなれる
次の瞬間、私は彼の長いまつ毛を間近に見た。

「ん。」唇に彼を感じた。

チョコレートの味がするキスだった。

「今のでパワーをもらった。君もチョコで元気を出せよ。じゃ、行ってくる。」

森下さんが小屋を出て行ってから3時間経った。

窓の外を見た。

まるで滝の中にいるようだった。

彼が言った通り、この雨量では山がもたないと思った。

小屋ごと流されないことを祈った。

私は救命ボックスの中を調べ、すぐにケガの手当てができるように待機していた。

今私にできることはそれだけだった。

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