彼となら、   熱くなれる
「森下先輩、下山は無理ですよね?」

先輩?あの隊員は森下さんの後輩なのかしら?

「守口先生、彼は須藤徹斗。僕の後輩です。先生の診断では下山は延期すべきでしょう?」

「森下さん、彼女は無理です。私が付き添っていますから、他の2人を先に下山させてください。」

森下さんは私を見つめた。

「わかった。須藤を置いて行くから何かあったら彼の指示に従ってください。」

「はい。」私はしっかり返事をしたが、内心は震えていた。

小屋がもたないとわかっているのか、この豪雨の中を森下さんが無理に下りるなんて言うわけない。

「僕が戻るのに3時間はかかると思うが、二人を頼むぞ。決して寝ないように。いいな、須藤。」

「はい、先輩。」

森下さんは登山客の男性2人を連れて外へ出た。

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