彼となら、   熱くなれる
4時間経った。

外は真っ暗だった。

ランタンの揺れる明かりが小屋の中をほんのり照らした。

鎮痛剤が効いた女性は傷みが和らいだものの、微熱があった。

「体が防衛のために発熱するのよ。数時間後は楽になるわ。心配しないで。」

「はい、先生、大丈夫です。」彼女は弱々しい声で言った。

「守口先生はなぜ森下先輩とご一緒されていたのですか?」

私は山小屋の犬の難産のことを須藤隊員に話した。

「そうか、5匹も生まれたのか。1匹本部で飼ってくれるかな、番犬になるかもしれないし。」

「森下さんに相談されたらいいと思うわ。」

「先生は獣医さんだから犬が好きでしょ?」

「ええ、好きだけど、父のクリニックは産婦人科だから家で飼うのは無理なの。私もペットクリニックへ通っている身だし。」

「そうですよね、忙しくて散歩どころじゃないですよね。」

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