彼となら、   熱くなれる
「守口先生、ホテルまで送ります。」

「ありがとう、森下さん。」

彼も全身が雨水でべったりと濡れていた。

首からタオルを下げたまま運転した。

私も頭からタオルをかぶって車の揺れに身を任せ、疲れと眠気にまぶたが閉じそうになった。

森下さんは運転中黙ったままだった。

私はちらりと見た彼の横顔にドキドキした。

長いまつ毛がしっとりとつややかで、短く刈った髪、シャープな印象、あの時ギュッと抱き締めてくれた力強い腕と温かい胸を思い出して、ゾクリとした。

車内が暗くて助かった。

もしかしたら私の顔が赤いかもしれないと思って、そっと窓の方へ視線を戻した。

彼には気づかれてないはず。

あの時の彼の唇、柔らかくて、一瞬だったけれど、うっとり感じた。

何時間も前のことなのに今でも思い出してドキドキした。

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