彼となら、   熱くなれる
その夜、私は彼に事情を話した。

「久保先生は喜んでくださったの。敬吾さんは喜んでくれないの?」

彼は何も言わずに私を抱き締めた。

「スキー場へは病院の休日に行けるわ。水曜と日曜よ。」

「来るといっても僕が借りられるロッジは狭い。無理だ。」

「シュラフよりは広いはずよ。」

「僕が君の方へ行くよ。」

「ダメよ。医院内のご自宅だから、それこそ無理よ。」

「珠良、僕のことをどう思う?」

「敬吾さんは私の恋人だと思っているの、違う?」

「期限付きの恋人だろ?」

「今は仕方がないわ。ちょっと先のことしか決められないの。」

「正直だな。僕もそう思う。」

10月に再会を約束して、私の夏の休暇は終わった。

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