彼となら、　　　熱くなれる
この許されない肉体関係が余りにも甘美で、余りにも刺激的で、余りにも激しくて、私はその全てを兄に求めて、与えられて、満たされ続けた。

それは私と兄の間で可能なことだった。

「兄さんは私を抱く時、いつもどこか余裕があると思うの。」

「へぇ、そうか？」

「うん、私ばかりが満たされているようで。」

「何が不満？」

「不満じゃないの。もっと兄さんも私を感じてほしいの。」

「充分感じていると思うが、これ以上おまえに何を求めればいいんだ？」

「ごめんなさい。」

「たぶん俺はもっとおまえに狂えたらと思っている。だが、どこかで無意識に歯止めを掛けているんだ。ここまではいいが、それ以上はダメだと。その境界ははっきりしないが。」

「兄さんの中には私よりも強い理性があって、それがあるから今の状態を保てていられるの。私のわがままな分を兄さんがパランスを取ってくれているの。そう思う。」

「俺は珠良が妹でなかったらと、何度も繰り返している馬鹿な兄でしかない。そこから一歩も進んでいない。愚かだろ？」

「私はそういう有りのままの兄さんを愛してるの。愚かな兄を愛する愚かな妹なの。」

「馬鹿だな、俺たち。」

< 71 / 83 >
表紙・目次

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop