彼となら、   熱くなれる
父は2階と3階をリフォームするらしかった。

リフォーム中は兄のマンションに泊まらせてもらうことになった。

私は兄に電話した。

「兄さん、父さんがそうさせてもらえって言ってたけれど。」

「俺は別に構わないが、珠良次第だ。山の彼氏にもう裏切りは許されない。来てもいいが、俺に何も期待するなよ。」

「うん、わかった。じゃ、明日のランチでね。」

「ああ。」

私は兄の言葉にもう動揺しなかった。

私は森下さんを想った。

彼を愛していた。

もう兄とは普通の兄妹として接することができると思った。

私は自分の兄への想いに、以前ほど執着しなくなった。

いいことだと思った。

兄と私は正常でなかった。

異常な関係だった。

今はそう思えることに安心できた。

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