彼となら、 熱くなれる
「敬吾くん、乾杯しよう。さ、皆もう一度乾杯だ。」
両方の家族がそろった。
私は隣りに座った敬吾さんとテーブルの下で手を握り合った。
すごく嬉しかった。
彼をこれほど近くに感じたことはなかった。
ふと目を向けると、兄が私を見ていた。
視線を返すとにっこり笑ってくれた。
私はこみ上げそうになるのを懸命にこらえた。
兄の笑顔が全てを語っていた。
私への有りったけの想いが込められていた。
兄の中のいろいろな感情が一瞬私の体を突き抜けたように思えた。
兄のお陰で私は強くなれた。
兄への感謝の気持ちを一生忘れてはならないと心に誓った。
姉が言った。「珠良、敬吾さんと結婚しないの?」
わざと否定形で聞いてくる辺りが悔しかった。
「もう2年も付き合っているなんて、兄さんは知っていたの?」姉は続けた。
「いや、知らなかった。何も聞いてない。」
私は兄の返事に震えた。
兄の言葉は完璧だった。
私は心の中で思った。
今すぐ兄の胸に飛び込んでありがとうと言いたかった。
そして必ず伝えようと思った。
~ 完 ~
最後までお読みいただきましてありがとうございます。
お楽しみいただければ幸いです。北原留里留
両方の家族がそろった。
私は隣りに座った敬吾さんとテーブルの下で手を握り合った。
すごく嬉しかった。
彼をこれほど近くに感じたことはなかった。
ふと目を向けると、兄が私を見ていた。
視線を返すとにっこり笑ってくれた。
私はこみ上げそうになるのを懸命にこらえた。
兄の笑顔が全てを語っていた。
私への有りったけの想いが込められていた。
兄の中のいろいろな感情が一瞬私の体を突き抜けたように思えた。
兄のお陰で私は強くなれた。
兄への感謝の気持ちを一生忘れてはならないと心に誓った。
姉が言った。「珠良、敬吾さんと結婚しないの?」
わざと否定形で聞いてくる辺りが悔しかった。
「もう2年も付き合っているなんて、兄さんは知っていたの?」姉は続けた。
「いや、知らなかった。何も聞いてない。」
私は兄の返事に震えた。
兄の言葉は完璧だった。
私は心の中で思った。
今すぐ兄の胸に飛び込んでありがとうと言いたかった。
そして必ず伝えようと思った。
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