星になれたら。
「ああ、向こう一年間の減俸だってさ」
返って来た答えに大きな瞳を見開く。
「マジかよ?ちょっと厳しすぎないか?」
「嘘もついちまったからな」
「……」
「あのコがさー、俺に聞いたんだ。自分も天使になれるかって。天使になれる奴ってのは、産まれた時から素質を持ってる奴だけだってことお前も知ってるだろ?」
光が頷く。
「あのコには素質が無かった。でも俺あのコも天使になれるって嘘ついちゃったんだ。だってさ、あのコすっごい瞳ぇキラキラさせてたんだよ。本当の事を言ってガッカリさせるのは偲びなかったんだ」
光は杉本の話をずっと黙って聞いていたが、やがて口を開いた。
「バカだな、お前」
「…だよな」
杉本架月45歳。
自他共に認める超がつく程のお人好しである。
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