星になれたら。
そんな事を考えていると私の腕を杉本さんがそっと掴んだ。
「な、何?」
いきなりだったのでびっくりして思わずどもってしまう。
「そろそろ行かなくてはならない時間です」
行くってどこに?
「霊界への扉の前です」
心を読んだかのように彼が答える。
「や、やだっ」
抵抗するけれど
「仕事ですから」
困ったような微笑を浮かべながらもきっぱり言われてしまう。
そんな事を言われても嫌なものは嫌なのだ。
「あ、あの~杉本さん。私って今すぐ霊界に行かないとどうこうなっちゃうんですか?悪霊になっちゃうとか」
表情を伺いつつ聞いてみる。
「いえ、そんな事は無いですが…何か未練でもあるんですか?」
「そうですけど。…いけませんか?」
「内容によります」
え……?
「どうしてですか?」
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