メゾン・ド・リリィ
文句の一つでも言ってやろうかと思ったけど、僕の顔が笑ってないことに気付いたのか、お巡りさんは笑うのを止めた、というかこらえた。


「いやぁ~ごめんごめん。君面白いねぇ、いいキャラしてるよ」


まだ時折プッとなりながら、お巡りさんが握手を求めてくる。


お巡りさんの掌は予想以上に大きくて、僕の中でくすぶっていた気持ちは、一気にシュンとなった。


「君名前は?」


間髪入れずに質問が飛んでくる。


「えっと…天河 創太(あまかわ そうた)です」


「ほぉ~珍しい名前だね。あまかわそうた…っと。どんな漢字?」


警察官の人にこう質問されていると、何も悪い事はしてないのに、なんとも言えない居心地の悪さを感じる。

僕は近くを誰も通らないように願った。
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