メゾン・ド・リリィ
ちょうど5つ目のカーブが終わった時だった。


「あっ!」


思わず声が出る。




―桜だった。



その場所には天井が無くて、そこだけ別の世界のように桜の樹々がひっそりと佇んでいる。


樹全体が蒼白い月の光を浴びて淡く煌めき、ヒラヒラと舞う花びらは、白い衣を纏って踊るように散っていく。


時が止まった…



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