メゾン・ド・リリィ
急いで雨が染み込んでさらに重くなったキャリーバックを肩に掛け直す。


ずっと食い込んでたから左肩がヒリヒリするけど、この際だから仕方ない。


一歩を踏み出そうとした瞬間、振り返って桜を見たい衝動に駆られた。


けど、ここで振り返ったら見入ってしまうのを知っていたから、僕はまだ先の見えない出口に向かって走り出した。


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