メゾン・ド・リリィ
ハァ… ハァ…


さすがにキツい。


意識して地面を蹴らないといけないのは久し振りだった。


足の裏には鈍い痛みが走り続け、右肩にかけると上手に走れないからと無理をさせている左肩は、時折ピリッと電気が流れたような痛みがある。


それでも僕は走らなければならなかった。


大家さんのために。


何だか自分がいつか教科書で見たメロスのように思えてきて笑える。


フッと一瞬だけ体が軽くなった。


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