メゾン・ド・リリィ
「いって…」


切れた口からは血というよりも現実の味がする。


「ふふっ」





?????



ふふっ?今誰か笑った…


転んだ状態のまま顔を上げる。



誰もいない。


そりゃそうだよな、こんな時間にこんな場所をうろつくなんて、よっぽどの物好きか、変態しかいないし。


念の為立ち上がってトンネルの外に出て見回してみたけど、あるのは黒い雑木林とそこを通る一本の道だけだった。


< 42 / 51 >

この作品をシェア

pagetop