メゾン・ド・リリィ
辺りを見回してみるけど、それらしいものはない。


あるのは、ずっと向こうに見える、今さっき通って来たような雑木林(森?)と、右手200~300mぐらい向こうにそびえる小高い丘だけ。


左に視線を移すと、白くぼうっと光っている空と地面の境界線が、穏やかな曲線を果てることなく高低に描き続けている。


「どうしよっかな」



悩んでいるような言葉とは裏腹に、立ち上がった僕の足はもう右に向いていた。


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