雪恋ふ花 -Snow Drop-
春人は珠を抱えたまま、パタンと畳に寝転ぶと、大きな息を吐いた。
珠も激しく上下する春人の胸の上で、同じように大きな息をついていた。
珠はこれまで感じたことのない幸福感の中を漂っていた。
しばらく優しく髪や背中をなでてくれていた春人が、おでこにチュッと軽いキスを落とすと、そっと立ち上がった。
珠は不安になって思わず、春人の腕をつかむ。
「どこにも行かないから。ちょっとだけ、待ってて」
春人は優しく微笑むと、押入れから布団を出した。
敷布団を敷くと、動けずにこたつで横たわったままの珠をそっと抱え上げて、布団の上に連れていく。
毛布と掛布団を出して、上からそっと掛けた時には、珠はもう眠りについていた。