雪恋ふ花 -Snow Drop-



「恋の最初のまなざし」


とうとう、春人が告げて、優しいまなざしで珠を見つめる。
その言葉を聞いた珠は、思わず息をのんだ。


「それと、恋の最初のため息」


春人が熱い想いをこめて、じっと珠を見つめる。


「いつか贈った写真集、あの時、本当はこの二つの言葉を伝えたくてプレゼントしたんだ」

春人の言葉はまだ続きがあった。


「……」



「いつまでも待つなんて、かっこつけたけど、待ちきれなくて、来てしまったよ」




珠は驚きのあまり、さっきから無言だ。




「珠ちゃん、改めて言わせて……」




珠は大きく息をすって、春人の次の言葉を待った。



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