雪恋ふ花 -Snow Drop-
その言葉を聞いて、春人は満面の笑みを浮かべた。
「ありがとう」
「えっ?」
「僕の想いを受け止めてくれて」
「春さん……」
春人は立ち上がって、ここが珠の実家であることも忘れて、珠を力いっぱい抱きしめていた。
「それで、自分のことって?」
春人は腕をゆるめて、珠を見下ろしながら聞いた。
「私、実はまだ就職が決まってなくて」
「ああ」
春人は急に深刻な顔になる。
「でも、四月からアルバイト探してたらね、ちょうど目指してた児童館の募集があって」
「うん」
「また、大阪で一人暮らしすることになったの。それでね、一緒に住む所、探してもらいたいなあって」
「あのさ、いい物件知ってるんだけど」
春人がいたずらっぽく笑って言った。
「えっ、ほんと?」
「これから、案内するよ」