雪恋ふ花 -Snow Drop-

「ごめん、またなし崩しにするところだった」


春人がグッと珠の体を押しやる。
キスに翻弄されていた珠は、わけがわからず、驚いて目を開けた。

「とりあえず、お風呂に入っておいで」

「えっ?」

珠は展開についていけず、目をしばたいた。

「いや、僕としてはこのまま突っ走りたいところなんだけど、今日はちゃんと大人の余裕を見せようと思って」

「あの……」

「今日は帰したくないんだけど……」

「……」

「ほんとは、もっとゆっくり進めるつもりだったけど、やっぱり無理みたい」


そんなことを熱い瞳でささやかれて、珠はもうどうしていいかわからなかった。

< 135 / 146 >

この作品をシェア

pagetop