雪恋ふ花 -Snow Drop-
「すいているうちに風呂入ったら? 足とか、身入ってパンパンだろ」
そう言うと、大広間に置いていた荷物を軽々と担いで、春人はさっさと2階の客室に上がっていく。
珠も慌てて荷物を取りに行った。
鞄の中から携帯を取り出して、着信を確認する。
姫花(ひめか)からメールが入っていたが、賢からは着信もメールもない。
予想はしていたが、かすかな期待があった。
もしかしたら、心配してくれていたかもしれないと。
珠は先に宿に帰っていることを姫花と賢に送信した。