雪恋ふ花 -Snow Drop-
駐車場に車を止めて、エンジンを切る。
助手席で眠る珠を揺すぶってみるが、全く目を覚まさまない。
春人は運転席を降りると、助手席のドアーを外から開けて、毛布ごと珠を抱え上げた。
「かるっ」
あまりの軽さに、春人が独り言をつぶやく。
1階の自分の部屋のカギを開けると、珠をベッドにそっと寝かせた。
さて、どうしたものか。
起きてくれるまで、送りようもない。
車から荷物を降ろし、洗濯物を取り出すうちに、春人も強烈な眠気に襲われ、珠をベッドの端に寄せると、そのまま隣にもぐりこんだ。
セミダブルのベッドは小さな珠と一緒に横になっても、ゆったりしていた。