雪恋ふ花 -Snow Drop-

翌朝6時。
目覚ましの音に春人が目を開けると、いつの間にか珠が自分の腕の中で丸くなっていることに気づいて、ギョッとする。
寝る時はベッドの端に寝かせたはずなのに、胸にすりよるように小さな寝息を立てる珠を見て、優しく微笑んでいた。

「ほんと、ネコみたいだな」

ぷくぷくのほっぺたをツンツンとつついてみる。

「う、うん……」

目覚めが悪いほうなのか、珠はなかなか目をあけない。

「おい、朝だぞ」

少し強めに肩を揺さぶると、「賢ちゃん?」と間違われて、ムッとする。


「俺は春人だ。おい、起きろ」

大きな声で呼びかけて、ようやく珠が目をあける。

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