雪恋ふ花 -Snow Drop-

会計は珠の反対を押し切って、春人と麗子が支払った。
店を出た時、珠がガクンと膝を折った。

「おい、だいじょうぶか?」

春人が慌てて腕を支える。

「へへへ。ちょっと、酔っちゃったみたい」

見れば目がとろんとしている。

「もしかして、珠ちゃんって、アルコールだめだった?」

「うん」

「あらら」


麗子は携帯で素早く電話をかける。

「もうすぐ、うちのだんなが迎えに来るから、珠ちゃん車で送ったげる」

「うん」


そうしている間にも、珠はますます腰がたたなくなってきて、とうとう春人が珠を抱え上げる。

「あっ、いいなあ」

「おまえは、だんなにしてもらえ」

「はーい」


麗子も相当酔っているみたいだ。
それより、珠をどうしようか、春人はそっとため息をついた。

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