雪恋ふ花 -Snow Drop-
しばらくして、麗子のだんなの車が店の近くに止まった。
挨拶もそこそこに、車に乗り込む。
その時になって、珠の家を知らないことに気がついた。
とりあえず駅の近くまで車を走らせる。
「珠ちゃんって、大学生よね?」
「ああ」
「だったら、学生証、あるんじゃない? ちょっと失礼して」
麗子が鞄の中を探し始めた時、携帯が着信した。
「出ても大丈夫かな?」
「名前、出てるか?」
春人が慌てて聞く。
彼氏だったら、また話がややこしくなる。
「姫花って、出てる」
「ああ、それ彼女の友達の名前だ」
麗子が珠の携帯をとり、事情を説明する。
姫花から住所を聞き出すことができた。